日本の物理学者です。長岡半太郎、アルベルト・アインシュタインに学ぶ。
アルベルト・アインシュタイン来日時は、通訳を務めました。
歌人でもありまして、アララギ派の伊藤左千夫に学ぶ。
女性関係で、アララギ派を脱会するという、のんけの鑑。
難解な出来事を簡単にする。
簡単そうに見えて、とてつもなく難しい。
難解な出来事を難解にする、自ら頭がいいと思っている馬鹿が、どれほど多いことだろうか。
自然をふかく研究して、そのなかから新しい法則を見つけ出すということは、人間にとっての最も大きなよろこびであり、之によって自然の限りなく巧妙なはたらきを味わい知るということは、わたしたちの心を何よりもけだかく、美しくすることのできる真実の道でもあります。昔から偉大な科学者たちは世のなかの一切の栄誉などにかかわることなく、ひたすらに自然のなかにつき入ってその秘密をさぐることに熱中しました。そこにはいろいろな苦心が重ねられたのでありましたが、それでも世界のなかで誰も知らない事がらを、自分だけがつきとめたというすばらしい喜びは、それまでの並々ならぬ困難をつぐなって余りあるものに違いなかったのでした。そして、このようにして科学は時代とともに絶えず進んで来たのでしたが、それが今日どれほど多く世のなかの人の役に立っているかは、誰も知っている通りであります。この事をよく考えて見るならば、わたしたちがふだんの生活において科学を利用して非常な便利を得ているにつけても、今までの科学者たちの多大の苦心に対して心からの感謝をささげないではすまないのでありましょう。
科学の実験というものは、少しやり出すと、それからそれへとおもしろくなるもので、またいろいろな知識を得て、新しいことをして見たくもなるのです。それでその頃誰でも聴きにゆかれるような講義のあるのを探し出しては、それを聴きにゆきました。そして気の合った友だちが見つかると、互いに励まし合いながら実験を一緒に行ったりしていました。
学問の上の仕事は、それが正しければ、立派に残っていて、いつかは見つけ出されて、その偉大な栄誉をになうことのできるものであるということが、この一事によってもみごとに証拠立てられるのです。
科学の上ですぐれた仕事を成し遂げることは容易ではありません。それでも熱情をこめて励みさえすれば、ある程度には到達することができるのです。