もう秋か。―それにしても、何故、永遠の太陽を惜しむのか、俺達はきよらかな光の発見に心ざす身ではないのか、―季節の上に死滅する人々からは遠く離れて。


Aは黒、Eは白、Iは赤、Uは緑、Oは赤、母音たち、
おまへたちの穏密な誕生をいつの日か私は語らう。
A、眩ゆいやうな蠅たちの毛むくぢやらの黒い胸衣は
むごたらしい悪臭の周囲を飛びまはる、暗い入江。


もしかの時代が帰りもしたらば! もしかの時代が帰りもしたらば!……
だつて『人の子』の時代は過ぎた、『人の子』の役目は終つた。


貴君は恋の捕虜となり、八月の日も暑からず!
貴君は恋の捕虜となり、貴君の恋歌は彼女を笑まし。
貴君の友等は貴君を去るも、貴君関する所に非ず。
――さても彼女は或る夕べ、貴君に色よい手紙を呉れる。


花々の乱れに青い風あたる大きな窓辺に、
二人はその子を坐らせる、そして
露滴くふさふさのその子の髪に
無気味なほども美しい細い指をばさまよはす。