流るゝ川に言葉あり、
燃ゆる焔に思想あり、
空行く雲に啓示あり、
夜半の嵐に諫誡あり、
人の心に希望あり。


詩人よ君を譬ふれば
光すゞしき夕月か
身を天上にとめ置きて
影を下界の塵に寄す。


さればうき世の雲は晴れ
つるぎは銷けて、天日の
光と照らんあさぼらけ
人の心に恨なく
邦の間に怒なく
我世の上にあらびなく。――



星宵の空に聲もなく
よさしは今と佇ずめる
「暗」と「眠」の影ふたつ
あまねき惠み人の世に
たるゝいましのなつかしや。


別れの袖にふりかゝる
清き涙も乾くらむ
血汐も湧ける喜の
戀もいつしかさめやせむ
物皆移り物替る
わが塵の世の夕まぐれ
仰げば高き大空に
無言の光星ひとつ。


神よ問はなむぬばたまの
「夜」のもすそに包まれて
咽ぶ涙は幾何ぞ
靜けき夢は幾何ぞ


東の空を昇り來る
星また星に聲も無し
西の空行き沈み行く
星また星に思あり。


祁山悲秋の風更けて
陣雲暗し五丈原
零露の文は繁くして
草枯れ馬は肥ゆれども
蜀軍の旗光無く
鼓角の音も今しづか。


恨みなはてぞ世の運命、
無限の未來後にひき
無限の過去を前に見て
我いまこゝに惑あり
はたいまこゝに望あり、
笑、たのしみ、うきなやみ
暗と光と織りなして
歌ふ浮世の一ふしも
いざ響かせむ暮の鐘、
先だつ魂に、來ん魂に
かくて思をかはしつゝ
流一筋大川の
泉と海とつなぐごと。


土井晩翠、日本人なら誰でも知っている日本の詩人です。


荒城の月は、何処かで聴いたことがあるかと。

土井半助、土井善晴さん、土井晩翠の三大DOI。

それDOIじゃなくて、ジョジョの奇妙な冒険のDIOじゃないですか!


天地有情は、後半に諸葛孔明の歌もあります。

土井晩翠は、多数の校歌も作っています。

ホメーロスの『イーリアス』の翻訳も手掛けています。

https://www.aozora.gr.jp/cards/001099/card46996.html