西新宿のビルのむこうにゴジラ顕ち神のごとくにほほえみており
ひざまづくわが目の前に小太りの神がバッテン印を出しぬ
神の罰神の罰とぞくり返し業平橋行き都バス待ちおり
言の葉をもて遊びたる罰なるや夢みる頃を過ぎてまた夢
こんな眼をわれもしているヌイグルミ売場に千の虚無の眼ひかる
株価表示ボード刻々点滅し神々は何告げんとせしか
曖昧な日夜と言われ異論なき靴下を履く時脱ぐ時も
哄笑の余韻は真夜の寝室になおも残りて月ぞ蒼白
殲滅という文字の連鎖が夢に出て非芸術的疲労に浸る
寒き日の寒き雷鳴そのかみの満州国は如何なる楽土
またとなけめ終の至福の呪文にて純粋の毒呻りたけれど
明日は夏至永久に帰れぬあの夏のヨットの真赤なしくずしの死
リボ払い停止のしらせ届けられ世紀の替り目の家長なる
首絞め強姦殺人魔小平義雄42歳逮捕される
書き散らして棄てし瀕死の詩語いくつ北のはたてのまた北の北
血がにじむまで唇を噛むことに意味などあらぬ今日このごろは
錠剤コーヒーをもて呑み下し詩人にあらず刺客にあらず
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